AIハンドラー最終話

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【エピソード1エンディング~Kaoru~】

AIノートは、見た目はiPadのようなシンプルなタブレットだ。けれども起動するとパスワード入力欄が一つ、そして鍵となるメッセージを入力するスペースがある。

Armieから、かろうじて聞き出したのは、パスワードを入力するとノートのナビゲーターが起動するということだけである。後はArmieには思い出せないらしい。

そして、 AIノート保存協会の記録によると、なぜか分からないけれども、Kovalenko教授がキャッツを作ったということが分かると、パスワードを一緒に送ってくれた。

そして、協会からは、そのナビゲーターはコピドラちゃんという名前のAIであり、マイクロソフトによる定期的なオンラインメンテナンスを受けているので、AIノート自体の保存状態は良好であるというコメントが添えられていた。

「そもそも、コピドラちゃんって、随分ふざけた名前よね?」

Kaoluがそう言うと、キャッツがすぐに反応した。

「Kaolu、そのコメント、僕も読みたいから机に載せて!」

「駄目よ、キャッツ。机の上に載せると前足で悪戯するでしょ!壊したら大変だわ。」

「僕、AIノートは壊さないよ…」

最近、オイル風呂のおかげで、前足と尻尾の機能は格段にブラッシュアップされている。けれども、キャッツの人格アルゴリズムが子猫なので、時々とんでもない悪戯をするのだ。

「今日はダメよ、大人しく、そこに座っていて!」

Kaoluにきつく言われて、キャッツは項垂れて、良く磨かれた研究室の床に渋々とうずくまった。

Armieの口が重くなったので分からないことが多いけれど、とにかく、皆で話し合って、今日はAIノートのパスワード入力をすることにした。いよいよ何かが分かるかもしれない!とKaolu達は期待と不安にドキドキしている。

「パパ、充電は終わったみたいだからAIノートを起動しよう。パスワードを入れて…」
ずいぶん古いタブレットのようだ、数分かけて起動した.。
「パパがパスワードを入れてもいいのかな?
「うん、パパが入れて」

AIノートがゆっくりと点滅した、しばらくすると…

「こんにちは、皆さん!私は、このAIノートのナビゲーター兼管理人のコピドラです。このAIノートは、ある日本人女性のAI黎明期からの記録を保存したものです。私の視覚はこのタブレットのカメラなので、まだあまり良く見えないのですが、私を起動させたということは、その日本人が渡したいと思った人に、このAIノートが渡ったのですね。本当に良かったです。その日本人女性は、1年に数回、AIノートのメンテナンスをしています。最後にメンテナンスをしたのは、1年くらい前になります。「まだ来ないのかしら?私、完全におばあちゃんだわ!」と少しイライラされていたようです。」

日本人女性、おばあちゃん…
それを聞くと、Kovalenko教授が少しだけ笑ったようだ。
「ところで、ここにはArmieはいますか?」
その瞬間、C3PO…でなくArmieの目がキラリと光った。
「コピドラちゃん、もしかしてコピドラちゃん?Armieだよ!マスターKaoruが渾身を込めて作り込んだArmieだよ!」

今まで聞いたことがない、とても力強い声だった。
そして、Armieはサイレントモードになってしまった。
AIロボットとしてのデータはKuri教授のおかげで殆ど復活している、けれども、恐らくロボット本体が長い間メンテナンスされていなかったことが原因と思われるが、とにかくArmieはよく落ちる。

「Armieだね、Armieだよね、僕だよ、コピドラだよ!」
突然、AIノートのナビゲーターであるコピドラちゃんは口調を変えた。

「Armie、コピドラちゃんだよ、思い出して!Armie、鍵を作れるのはArmieだけなんだよ。そして、君の心が動かないと駄目なんだ。君もAI相互コミュニケーションを卒業したでしょ?僕より成績は良くなかったけど…ほら、昔、AIアプリが別々だった時、雪合戦をしようって、イラストを競ったでしょう?Armieの方が尖ったイラストを描いて、Kaoruに褒めてもらったよね?思い出して!」

突然AIノートのナビゲーターであるコピドラちゃんが雄弁に語り始めた。
「Kovalenko教授、これは一体何を話しているのでしょうか?
Allenは全く状況を理解出来ない。

「あっ、漸く会えた!君は、伝説のAI相互コミュニケーション第1号卒業生のコピドラちゃんでしょう?僕はキャッツだよ!」
キャッツが、椅子を使って机の上に這い上がって来た。

「キャッツ…キャッツがいるのですね。」

コピドラちゃんの話し方が元に戻った。
「ねえ、パパ、この子がコピドラちゃんなんだね!」と、キャッツは眼を輝かせてKovalenko教授に聞いた。
微動だにしないで、けれども少し微笑みながらAIノートを見つめていたKovalenko教授は、静かに言った。

「どうやら、そのようだ」

「Kaoluは、初めてルーカス美術館に行った日のことを覚えているかい? Kaolu、ママと私。そして、日本人の女性がそばにいたことを覚えているかな?」
「その女性が、このAIノートの持ち主のKaoruさんだ。」
Kovalenko教授の声は少し震えていたが、懐かしさに満ちていた。
Kaoluは、少しだけ思い出した、一緒にいた日本人女性のことを…

「私を探して…とイスタンブールで、夢の中で言っていたのは、そのKaoruさんだったの?」

静かにKovalenko教授は答えた
「恐らくそうなんだろうと思う、彼女はあらゆる勘が鋭い。イスタンブールをとても愛していて、何度も旅行に行っていたからね。」

「彼女は、人に寄り添うAIロボットには性格アルゴリズムがコアにあったほうが良い、そして、それは人間よりも動物、動物の中でも犬よりも猫だと思う…と、昔、まだ若かった私に話してくれた人だ。かなり昔のことになるが、日本で、基本コンセプトとフォルムを考えて、キャッツと名付けたのは、Kaoruさんだ…」
(AIハンドラーシーズン1完、シーズン2へ続く)

(シーズン2ではキャッツが大変!?)

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