日本は、未だに現金決済比率が6割から7割(調査の仕方によって幅があります)ですが、クレジットカードの普及率は、おそらく世界有数ではないかと思われます。
海外のキャッシュレス決済の比率についての調査が日本語サイトで取り上げられる場合、一括りに「カード決済」となっていることが多いのですが、その「カード」には、3種類あり、海外では、クレジットカードよりもデビットカードの利用率の方が一般的に高いです。しかしながら、日本では、デビットカードはまだまだ普及が進んでいないので、カード＝クレジットカードと思ってしまっているケースが多いようです。
海外では、銀行口座を開くのにも一苦労です。(日本法人が海外で現地法人を出して、運良く日系の銀行があると、「社員の方には特別にクレジットカードを発行させて頂きますね」と言って頂けますが、その有難味を知らない人も多いかもしれません) ようやく銀行口座を開いてもすぐにデビットカードを発行してもらえるケースも少なく、まずは、プリペイドカードの利用でクレジットスコアリングを磨き、デビットカードを発行してもらい、ようやくクレジットカードを発行してもらうという段階を踏むのが一般的であろうかと思われます。アメリカなどでは、「how to improve your credit scoring」なるノウハウ本が沢山出ています。
ということで、分かり易い資料をネットで見つけたのでお借りしてきました。
ここで取り上げられているのは米国と英国だけですが、他の大抵の国でも、キャッシュレス化に伴い増加比率が高いのはクレジットカードではなくデビットカードです。
http://www.nli-research.co.jp/files/topics/57401_ext_18_0.pdf
(上記ニッセイ基礎研究所様のリサーチよりお借りしました)
しかしながら、日本では状況が全く違います。
日本クレジット協会による調査によると、「平成 29 年 3 月末のクレジットカード発行枚数（調査回答社数 260 社）は、2 億 7,201 万枚で、前年比 2.3％の増加となった。成人人口比では、1 人当たり 2.6 枚保有していることとなる。」
また、JCBによる調査によると、「2016年のクレジットカード保有比率は84．2％」となっています。
保有枚数の観点では、日本はクレジットカード王国ではないかと思います。
では、クレジットカードの利用金額などを見てみたいと思います。同様にJCBの調査によると、「1ヶ月あたり5.7回、4.9万円が利用されている。利用金額は昨年から減少している。」
クレジットカードを持っていない成人が約16％いることを考慮すると、持っている人は平均3枚は持っているにも拘らず、1か月に約6回しか使わないのです。
どうしてこのような状況になるのか、幾つか日本特有の理由があります。
① 企業に勤めていると、銀行や取引先などから、クレジットカードを持つことをお付き合いでお願い(ほぼ強制的)されるのである。
② 事業会社の提携カードの場合、そのカードを使わないと付与されるポイントが少なかったり、ポイントがもらえないことがあるので、ポイントを貰うために何枚もクレジットカードを持ってしまう。
③ ポイント獲得を目的としたプラットフォームが乱立しており、そのプラットフォームを介してクレジットカードを発行すると、そのプラットフォームのゲーム等で使えるポイントを大量に貰えるので、ゲームの課金が嫌な人はクレジットカードを発行してゲームに充当している。
過去に自己破産をしたり、携帯電話代金の滞納をしたりしなければ、日本では大抵クレジットカードを持つことが出来るのですが、クレジットカードを持つことが主たる目的ではなく、むしろ押し付けられた感があるため、クレジットカードに潜在的に嫌悪感を持っている人が多いようです。一方で、クレジットカード比較サイトなども沢山あり、いわゆる「カードコレクター」の人も結構いるようです。
To be continued
