エストニア @Money20/20 Europe

注目度急上昇エストニア!!

皆さん、こんばんは!
最近、普通の経済雑誌などにも頻繁にエストニアに関する記事を見かけるようになってきました。
一般企業と同じくらいPublic Sectorの方が熱心なようで、私も愛用しているNewspicksでは、渋谷区長のエストニア視察による考察が特集で組まれていました。

ブロックチェーン国家、エストニアで感じた衝撃

なるほど…
私は公認会計士が要らなくなる国エストニアと聞いて衝撃を受けましたが、渋谷区長はブロックチェーンを駆使した国家という点に衝撃を受けたようです。
Public SectorのITコストですが、日本は諸外国に比べて高いそうです。
日本では公務員が基本的に終身雇用制度であるために、ITのプロがいないことが大きな要因であると、昔何かの本で読んだことがあります。
ですから、渋谷区長が衝撃を受けるのは極めて自然なことかもしれません。

 

 

 

 

( タリン国際空港も増設工事中)

2007年サイバー攻撃とブロックチェーン技術の開発

エストニアでは、2007年4月に、当時としては史上最大規模といわれたサイバー攻撃を受けました。大統領府の公式サイトも乗っ取られ、すべての政府機関のサイトが麻痺したそうです。その攻撃対象は一般企業や銀行にも広がり、当時から電子マネーやキャッシュレス決済が進んでいたエストニアでは、市民の生活が完全にマヒしたそうです。
当然、物流も麻痺をしたものと思われますが、スーパーマーケットには生鮮食品を中心として商品が無くなり、市民の死活問題にまで発展しました。
その攻撃は、様々な検証からロシアから発せられたものとエストニアでは断定をしたようです(ロシアがそれを認めたような発言はネットを検索しても見つかりませんでした)。

エストニア~IT先進国になる宿命を負った国~

エストニア政府は、その時点でも、あらゆるサイバー攻撃手法を想定して対策を講じていたそうですが、その対策も役に立たないほどの複数の手法を次から次と駆使した巧妙で大規模な攻撃だったそうです。
その時の痛い経験をもとに、エストニアでは、2008年よりブロックチェーン技術をE-Governmentに積極的に活用しています。
その実態を視察に行かれた渋谷区長が、エストニアに衝撃を受けたということになります。

私自身は、IT技術者ではありませんので、現在エストニアで使われているブロックチェーン技術について専門的知見から語ることは出来ません。しかしながら、一部ネットで散見されますが、それは、ビットコインそのものを使っているわけでも、ビットコインのブロックチェーンをそのまま利用しているものではありません。

2007年のサイバー攻撃を教訓に、主にフィンランドの協力も得ながら、独自に開発を進めてE-Governmentを構築しているというのが実態です。

エストニア@Money20/20 Europe

以前のブログにも簡単にコメントしましたが、今回のMoney20/20 Europeで国としてブースを出していたのは、イギリス(ロンドンも別個にブースを出す力の入れようでした)、フランス、エストニアでした。
写真を見て頂ければ分かると思いますが、紺を基調にしたブースは、なんとなくアメリカ合衆国を彷彿させます。

 

 

 

 

 

 

 

決して大きなブースではありませんでしたが、7,8社がコーナーブースを出していました。技術的な企業は、ほぼDigital BankingとSecurity(Authentication)技術に関するもので、いわゆるシステムサービスプロバイダー企業であり、システムを売り込みに来ているものでした。
後からタリンを訪問して知りましたが、エストニアでは圧倒的にスウェーデン他北欧資本の銀行が大きく、人口130万人規模のエストニアでは、自国でFintech技術を活用するというよりも、開発した技術を海外に売り込む方に熱心にならざるを得ないようです。
それを裏付けていたのは、投資仲介企業や不動産投資を仲介する企業のブースでした。
日本からの投資も盛んなようで、日本でFundingを仲介している企業もブースを出していました。

クラウドクレジット エストニア子会社

Digital Bankingの技術ですが、小規模ながらDigital Banking機能全般を提供できる企業がエストニアには幾つかあるそうです。
(Digital Bankingについては、現状では特定の金融サービスに特化しているチャレンジャーバンクの方が多いと思われます)
残念ながら、日本に導入するには、日本独自の銀行ネットワークや決済ネットワークの存在、日本独特なアカウントの持ち方などが重層的な存在として参入障壁のごとく立ちはだかり、エストニアの技術をそのまま日本で展開するのは難しそうです。やはり、銀行システム全体のJapanizationはIBM規模の会社でない難しいというのが現状のようです。
(注:日本では海外のBanking Systemを使っている銀行は極めて少数派というのが現状です)

エストニアのGDPなどの定量情報

さて、最近注目度急上昇のエストニアですが、実際に首都タリンに行き、その人口の少なさ(130万人)や、街がこじんまりしていることにはびっくりしました。

ということで、ここは基本に立ち返り、客観的に各国の定量情報と比較をしてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

(Global Note様のサイトからお借りしました。データ元はIMFの統計となります)

IMFの統計による「国民一人当たりの名目GDP額」は42位であり、旧東欧国の中で飛びぬけて高いわけではありません。
ちなみに、トップランキングの方はどうなっているかというと・・・
欧州の小国ですが、ルクセンブルグがダントツでトップとなっています。

 

 

 

 

 

 

 

注目度急上昇のエストニアですが、本当の経済成長はこれからの国であることが、このような定量情報を見ることで良く理解できるかと思います。

なお、日本の外務省のHPでは各国の基礎データを開示しています。
その国のマクロ状況を多角的に知りたい場合には、このサイトが一番信用出来て網羅的かと思います。
また、もしその国を訪れるのであれば、日本の外交がどのように展開されているかも併せて記載があるので、日本人として頭に入れておいた方が良いと思います。

エストニア基礎データ(外務省)

私がこの外務省のデータを見て一番驚いたのは、国民の半数以上が無宗教であるというところでした。
旧ソビエト連邦からの侵略でロシア正教を強要された結果なのかもしれません。

何と言っても注目度急上昇のエストニアですから、今年又は来年あたり視察に行こうとネットを検索したらこのサイトにたどり着くという方もいるかもしれません。お役に立てればうれしいです!!

 

To be continued

大学卒業後、官僚として働く。NYに遊びに行った時、ウォール街をぶらついていた時の軽い閃きから、公認会計士を目指そうと思い立ち、心機一転、電卓も使えないのに公認会計士試験の勉強を始める。 1年後無事合格するも、当時は公認会計士は大変な人余り状態、かなり苦労をして中堅監査法人に就職・・・。 しかし、仕事と上司には恵まれ、株式公開準備業務、国際部の立ち上げなど貴重な体験を経て、図らずとも独立。その後、事業会社のCFOや社外役員などを経験し、ブランドプリペイドカード発行事業を手掛けるなど、涙と笑いに包まれた経験を続ける。時々、当初の思惑と現実のギャップに日々苦闘と笑いを繰り返す毎日を過ごしている。 In English https://www.linkedin.com/in/kaoru-arai-28332370/

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