ちょっと前に、面白い記事を見つけた。
先般のコインチェックの騒動を受けての記事である。
20代を対象にした仮想通貨の認知度などについてである。
(以下、Business Insider Japanより抜粋)
若年層に関する調査会社TesTee(テスティー)が、20代男女2905人を対象にした仮想通貨に関する調査で、仮想通貨を認知している男女のうち、男性の約16%、女性の約10%が仮想通貨を保有していることが分かった。利用している取引所は、コインチェックが6割前後とダントツで多かった。
株を認知している20代のリサーチというのは見たことがないが、株の方が確実に認知度は高いと思われるが、実際に保有している比率は仮想通貨よりも低いであろう。
この10%近い保有率には驚きを隠せない。
しかし、もっと驚いたのは、こちらの結果である。
仮想通貨の保有者がどれくらい関連専門用語を理解しているかについての結果である。
仮想通貨を保有しているにも関わらず、ブロックチェーンですら約30%の人は理解していないという結果であった。
そして、私が驚いたのは、Fintechを理解していない人が大半であるという結果である!!
仮想通貨の取引は、FXや株のデイトレーダーと比較をされているようだが、少なくともFXやデイトレーダーは、必要な専門知識についてもう少し真剣に勉強をしていると思われる。
この意味で、芸能人を使って派手なCMを流したコインチェックの罪は重いと言わざるおえないし、仮想通貨取扱事業者の団体が一つにまとまり、幾つかのみなし事業者は金融庁への登録手続きを断念(つまりは廃業ということであろう)したというニュースも伝わってきている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032900800&g=eco
健全なマーケットの拡張のために、事業者が真剣に考えるべきことは多いはずだ。
さて、話をFintechに戻したいと思う。
ところで、Fintechとは何か?
Financial Technologyを繋げた造語であり3年前ぐらいから、よく見かけるようになり、今や言葉だけは知っているという人が大半だと思う。
けれども、奇異に感じている人も多いのではないだろうか?
そもそも、金融事業は巨大なコンピュータシステムを必要とする装置産業である。そのシステムTechnologyの進化はここ数年に始まったわけではなく、ずっと昔から進化を続けてきているのである。
それなのに、なぜ、今になってFintechという造語が作られるようなブームになっているのか?
ネットで検索をすると色々な説が出てくるが、個人的な見解としては、2007年夏に起こった米国のサブプライムバブルの崩壊に始まり、2008年のリーマンブラザーズの破綻に象徴される金融危機が生み出した結果だと考えている。
この金融危機が契機となり、世界中で金融機関への規制が強化されることとなり、当然であるが、その規制が故に、今まで享受できていた金融サービスを受けられなくなった人々は大いに困ったわけである。世界的にマクロ経済の視点でも経済がShrinkしていったので、企業経営の視点でも深刻な危機であったわけであるが、個々人のレベルで見ても困った人が多かったに違いない。
しかしながら、そんな状況でも冷静に将来を見据えて次世代の事業を考えていた人たちがいたのである。さらには、どんな経済危機においても、それを乗り越えて傷を受けないで済んだ、又は軽症で済んで資本家はいるのである。そういう一握りの人達は、その時すでに、次の時代を見据えて今のFintechブームの基礎を作り上げていたと、今振り返ると確信できるのである。
参考までに、ビットコインが生まれたのも2008年であり(正確に言うと、その論文が発表されたことを指している)、最初のソフトウエアが開発されたのは2009年である。
私がビットコインというものを仕事の会話で初めて聞いたのは、2012年頃であったが、当時は、将来これが経済活動においてどのような影響を与えるのか皆目見当もつかなかったというのが本音である。
しかしながら、その頃、私は、漠然と「金融サービスや決済サービスは大きく変わるに違いない」と感じていた。
金融危機から約3年が経ち、私が頻繁に行っていた南カリフォルニアの一部の元々富裕層が住んでいた地域では、既に景気は持ち直しつつあるのに対して、新興地域では、依然として景気は悪く、その格差が広がっているのを痛感していた。
そんな中で、Facebookを始めとするSNSが急速に広がりつつあり、ネットの在り方が変わり、新しいサービスが生まれる息吹が感じられながら朧げに思ったのが、これから金融は変わっていくという直感であった。
いつまでも悲観主義に浸っていないのが米国の強さであり、したたかに生きぬいていく強さがアメリカの底辺を支えているのも事実である。
ただし、その強さの根源は、平等ではなく公平(Fair)の精神である。
そんなことを感じてから既に6年が経ち、本当に金融が変わりつつある今。
そして、今回は日本だけが平等の精神でガラパゴス的発想で生き抜くことはできないと確信をしている。
1991年から始まった、日本が「失われた20年」と言われているバブル崩壊の後遺症からどうにか立ち直った術が、もしかしたら、最後の日本独自になるかもしれない。
いや、きっとなるのであろう。
それが、今、仮想通貨という足元が定まらない仮想通貨バブルに踊らされている若者の深層心理であり、老後の資金が足りないと老若男女問わず憂いている日本人の漠然とした不安の根源ではないだろうか?
1 comment