最近、マクドナルドの復活が目覚ましい。
一方で、一時期堅調だったモスバーガーの不振が深刻だというニュースもしばしば見かけるところを見ると、いつの時代もどの産業でも浮き沈みは当たり前だということだと思う。
さて、そのマクドナルドであるが、最近各種カード決済導入を進めていたが、こちらの新サービス導入の方が話題になっているようだ。
(以下、ITメディアより参照)
日本マクドナルドは2月23日、スマートフォンで商品の事前注文・決済ができるシステムを店舗に導入する計画を明らかにした。詳細は未定だが、待ち時間を解消して顧客満足度を高める狙い。2018年度中に一部店舗で実証実験を開始し、効果が得られた場合は本格導入を検討するという。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1802/23/news073.html
日経新聞にも大々的に取り上げられているが、決済もそのままスマホで(おそらく予め登録されたクレジットカード等で)完結するというサービスである。
一部実験店舗で今年中にスタートして、新店投資と共に、このサービスの全店導入に向けて約600億円の投資も予定されているとのこと。
各種メディアに取り上げられているので、画期的なサービスだと受け止められているようであるが、これは、既に4年前のリテールテックで某外資系決済事業会社が大々的にデモをして宣伝をしていたサービスに極めて近しい(もしかしたら、そのサービスを導入したものかもしれないが詳細は現時点では不明)ものである。
その4年前、私はリテールテックで、ちょうど食後のコーヒーが飲みたかったこともあって、事前にリテールテックのWebsiteでも紹介されていたそのサービスのデモを実際にやってみて、カフェオレを飲んだ記憶がある。
私の記憶に間違いがなければ、アメリカのスターバックスなどでも似たようなサービスはその後、既に導入されているはずである。
使ってみた感想として、率直に便利であった。
しかし、当時はまだスマホ普及率は50%に達していなく、またスマホに決済のためにクレジットカードを登録することも全く認知されていなかった。
同じ頃にVisaプリペイドカードを発行して、お客様から、「アカウントサイトの登録のために、パソコンかスマホが必要と言われても、どちらも持っていないんです!!」という苦情がお店からガンガン上がってくるのを聞いて、頭の片隅で、リテールテックで試したスマホにより事前オーダーサービスを思い起こしていた。
「カードの登録すら出来ないとこんなに苦情が上がってくるのに、あのサービスが日の目を見る日が来るのだろうか?」
その後、街中でカフェに入っても、そのサービスが導入されたのは見たことがなかった。
もしかしたら、アメリカではスターバックスで導入されているように、浸透しているのかもしれない。けれども、日本では私の記憶にはない。
そして、そんなことは忘れた今頃、このマクドナルドのサービスの導入のニュースが飛び込んできたのである。
このサービスが4年前に私が実際にデモで体験した某外資系決済事業会社がやっているサービスかどうかは分からない。その後、似たようなサービスをその競合他社も打ち出していたようなので、どの企業のサービスが採用されたのかは調べてみないと分からないが、マクドナルドでの導入を契機として、一気に普及するかもしれない。
今はスマホが前提のサービスはごくごく当たり前であり、クレジットカードをスマホに登録する決済サービスも、利用者はまだ少ないにしても認知は進んでいる。
「石の上にも3年」とは、新しいことを始めたり、新しい会社に入社したら、とにかく3年は辛抱して続けなさいという教訓だと理解していたが、なるほど、人の習慣を変える新サービスの導入も同じぐらいの忍耐が必要なのだと改めて感じたのである。
その外資系決済事業会社がそのサービスを開発するのには、4年前の2年前くらい、つまり6年前くらいから始めたに違いないと思われる。
4年前のリテールテックでは、まだFintechという言葉は使われていなかったと記憶しているが、マクドナルドが導入したそのサービスが大々的なニュースになったのは、やはりFintechサービスの浸透により進むであろう「キャッシュレス化」に繋がる大きな動きであるからであろう。
つまり、今、次々と登場しているFintech関連の新サービスの芽は、Fintechという言葉が世に浸透する前から地道に種を蒔いて根気強く育てた企業の成果であり、その大きな流れは、多少のトラブル(もちろん、コインチェックのNEMの流出事件のような深刻なものであると流石に業界全体に冷や水を浴びせる結果となってしまっているが)がプロセスにおいてあったとしても、大きなマクロの変化には逆行することは出来ないということであろうと思う。
特に人々が長年慣れ親しんだ習慣を大きく変えるようなキャッシュレス化の流れは、現金志向が強い日本人には、結局根付かないのではないか?という声も聞かれるが、4年後になってみたら、「いつまで現金ばっかり使っているの?」と言われるようになっているのかもしれない。