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父と主治医から朝の電話
前回のブログ
父の膵臓癌について
翌火曜日、朝ごはんを食べている最中に携帯が立て続けに鳴りました( 一一)
最初は父から、次は主治医から…
今日の午後手術室が空き次第、人口肛門を作る手術をすることになったとのこと。
主治医の先生は、「手術自体は特に危ないものではありませんので心配しないでくださいね。何時頃来れますか?なるほど、15時過ぎですか‥‥。腸が破裂してしまったら大変なので、到着しなくても手術は始めますので、ゆっくり来てくださって大丈夫ですよ。」と仰ってくださいました。
対して、どうやら手術の準備中に看護師さんの目を盗んで電話をしてきたらしい父は、「今日、手術だから…薫、病院来るんだろう?」
『そりゃ、行きます、お父さん‥‥』どうやら、手術自体は簡単なので、私が来ないのかもしれないと思ったらしい(-“-)
冷蔵庫を開けたら、昨日父から貰って来たリンゴが並んでいました。
『大丈夫だよ~!!』と言っているような気がしたので、リンゴは食べずグレープフルーツを食べることにしました。
病院到着、手術開始
15時半くらいに病院に到着して病棟に行ったら、ちょうど今ストレッチャーに乗って手術棟に運ばれていったとのこと。
『急いで行けば、まだ麻酔を打つ前にお父さんとお話が出来るかもしれなので、急いで行ってみてね!』
と優しく看護師さんから言われたのですが…
ここで、父と話をしたら、その後話が出来なくなってしまうような気がして、敢えて、手術室の入り口で声を掛けるのは止めました。
『今度のお正月の栗きんとんと黒豆はお父さんが作るから!!』と言っていた言葉を信じよう!!
そして、家族待機室で待つ長い4時間が始まりました。
4時間の手術時間
そろそろ冬至も近くなってきた12月上旬の夕方はあっという間に夜に変わりました。
次々と手術が終わったというアナウンスが入って手術室入り口に向かっていく家族の方たちを見送りながら、19時過ぎ、とうとう私が最後の家族となりました。
既に経過時間は3時間以上…仮に手術内容を変えるのであれば途中で連絡が入るはず。
ということは、まさか腸が破裂してしまったということ???
家族待機室には大きなテレビがあり、ちょうど19時のニュースがNHKで始まりました。
ニュースを見ながらも、5分おきくらいに時計を見てしまう私。
ニュースの内容もほとんど頭に入らず…
実は、私は勘がかなり良いのです。
今後の成り行きが上手く行くかどうか、大体感じた通りになります。
落ち着かない気持ちではあったけれども、何故か胸騒ぎはしなかった私。
『きっと、もう一度元気になって一緒に家に帰れるはず!!』その想いを否定する感情は不思議と湧き上がって来ませんでした。
そして…
19時40分過ぎ
『手術番号×番のご家族の方、ただ今手術が終わりましたので、手術室入り口までお越しください』
最後の手術だったこともあり、看護師さんが迎えに来てくれました。すでに手術棟は灯りが落ちています。
『今、主治医の先生が手術の説明をするためにこちらにいらっしゃるから、少し待っていてね。お父さんはまだ眠っているけど大丈夫よ。』
そう言って(おそらく)ICUに戻った手術棟の看護師さん。
それからしばらく経って手術着から着替えた主治医の先生から手術の説明を聞きました。
お腹を開いた時の写真を見せてもらって、それを見ながら丁寧に説明をして下さいました。
・実は手術は腸が破裂する寸前で、便が腸壁を破ってにじみ出ていたこと。
・不幸中の幸いで、膜に覆われていた部分だったので、お腹に癌細胞が混じっている便が広がらなかったこと。
・けれども、抵抗力が落ちている中で敗血症や腹膜炎になることもあるので、2リットル以上の食塩水でお腹の中を洗ったこと。
・人口肛門は。すでに破れかけていた部分を使って作ったため、少し無理がある作りになっているので、人口肛門が埋没しないようにしばらく気を付ける必要があること。
・出血は少なかったので、輸血はしていないこと。
・膵臓癌については、目視はしたけれども手術が出来る状態ではなかったのでそのままであること。
4時間に及んだ手術だったことから、父は体力を使っているので今晩は念のためICUで様子を見ることになりました。
ひどいものではないが腹膜播種となってしまったので、全身状態がちゃんと戻るかどうかはしばらく様子を見る必要があるので、今の段階でお正月前に一時退院が出来るとは言い切れないし、退院出来るとも言い切れないが、まずは一時退院をすることを目標に頑張りましょう!
淡々とした説明でしたが、とても丁寧で信頼感がある説明にホッとした私。
マスクをして頭にカバーを被って、ICUでまだ意識朦朧としている父に会いに行きました。
『お父さん、聞こえる? 私だよ!!手術終わったからね。成功したから安心してね!!』
全身麻酔が未だ冷めていない父は目の焦点も合っていないので、とりあえず私がいることを分かってもらうために、右手をギュッと握り締めました。少しだけ握り返してくれた父の手。
『お父さんの手を握り締めるなんて、何年ぶりだろう??』
もう真っ暗になった病院から今日は、タクシーで家まで帰ることにした私。
『大丈夫!!きっとお父さんは元気になって退院してくれるから…』
その時、そう思えたのは何故だったのか?何も根拠はなかったけれどもそう思い、夕食をしっかり食べて、お腹がいっぱいになった途端に爆睡した私でした。
To be continued