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冷酷な金融業界、優しい友愛
皆さん、こんにちは!!
映画「ハミングバード・プロジェクト」について、最後にお話ししたいことを書きたいと思います。
それは、この映画を最後まで観たら必ず感じるはずの『優しい友愛』についてです。
前回のブログ
映画「ハミングバード・プロジェクト」ニューヨークはアメリカにあらず
世界一の金融街でもあるニューヨークでは、日夜、弱肉強食の激しいビジネスが展開されています。
「ハミングバード・プロジェクト」でも、ヴィンセントと相棒でもある従兄弟のアントンが勤めていたニューヨークで高頻度取引を行っている会社の社長は女性ですが、野心的な経営者で、ヴィンセント達のプロジェクトを潰すために、アントンをFBIに逮捕させるという強権ぶりを発揮しています。
(映画のワンシーンより、野心的な女性社長に詰められるアントン)
優しさのエッセンス
そんな厳しい弱肉強食のビジネスが展開されているニューヨークでも、友情や友愛、そして弱者を思いやる優しさが、この映画では全編を通じてエッセンスのようにちりばめられています。
しかも、そのエッセンスはとてもバラエティに富んでいて、そこでも「田舎なアメリカ」や「大国アメリカ」が抱える矛盾や問題を上手に表現しているところが、監督であるキム・グエンのすばらしさだと感じました。
この「やさしさのエッセンス」は、色々な形で映画の中にちりばめられているので、観る人なりに、その人の感性で感じて欲しいと思いますが、一つ特筆すべきは、この映画では珍しく、「アーミッシュ」という人々の存在を、「田舎なアメリカ」を象徴する一つとして、自然な形で表現していることだと思います。
「アーミッシュ」とは、ウィキペディアではこのように説明されています。
『アーミッシュ(英語: Amish、ドイツ語: Amische)は、アメリカ合衆国のオハイオ州・ペンシルベニア州・中西部などやカナダ・オンタリオ州などに居住するドイツ系移民(ペンシルベニア・ダッチも含まれる)の宗教集団である。
移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足生活をしていることで知られる。原郷はスイス、アルザス、シュワーベンなど。人口は20万人以上いるとされている。』
参照ウィキペディア
アーミッシュとは
つまり、移民当時の昔ながらの生活スタイルを守りながら、電気を使わずに衣食住を自給自足している人たちです。彼らたちは、時々映画やドラマの題材に取り上げられたりすることがありますが、普通に映画の中で、「アーミッシュ」の人々が、普通のアメリカ人として出てくることはとても珍しいと思います。
彼らたちが生活する土地の下にも専用線を通すべく、ヴィンセントが説得を試みるわけですが…
そして、映画の最後の方で、この「アーミッシュ」の男性は思いがけない形で再び登場します。
思わず涙するシーン
この1人のアーミッシュの男性の存在が、この映画で『アメリカの光と影』を鋭く描いている中に、素朴な優しさを醸し出していて、私は個人的にとても素敵なシーンだなと、このシーンでは思わず涙ぐんでしまいました。
それ以外にも、アントンの子供たちとヴィンセントとのやり取りは、本当に心穏やかになる優しい映像が印象的で、この辺りは、ジェシーがFacebookのザッカーバーグを演じた「ソーシャル・ネットワーク」とは一線を画しているところです。
もうすでに映画をご覧になっている方もいらっしゃると思いますが、ヴィンセントが人生を賭けた「ハミングバード・プロジェクト」の最後はどのように幕を閉じるのでしょうか?
これは、映画を観てのお楽しみということで、ここでは触れませんが、ニューヨークの金融街という冷酷な世界を前面に出しながらも、エッセンスとしてちりばめられている優しさや友愛のシーンも是非とも楽しんで頂きたいなと思います。
私はこの映画を観終わった後、心の中に何か懐かしさを感じる感情が沸き上がりました。
それは、ずっと大好きだった、そして今でも大好きなアメリカという国を、今までとは別の形で見せて貰えたという満足感だったような気がします。
さて、3回シリーズで書いてきた映画「ハミングバード・プロジェクト」については、これで終わりにしたいと思います。
皆さんが思うアメリカ、ニューヨークはどんなものでしょうか?
この映画を観て、その思いが変わるのでしょうか?
機会があれば、是非「ハミングバード・プロジェクト」をご覧になって頂きたいと思います。
The end