目次(Contents)
末期癌の父の迷言
膵臓癌末期でありながら、何故か元気そうな父の姿には、安堵を感じるとともに、「いつまで元気なんだろう?」と切なく感じる時もありました。
前回のブログ
きっと最後のお正月
その頃の父は、人口肛門(ストーマ)の状態が徐々に安定していくと、普段のような憎まれ口的な、でも遺言らしき迷言を話すようになりました。父にとっては、かなり真面目に言い残したいことだったようですが、「いや、普通の人はそれを膵臓癌末期になって言わないでしょう…」という感じのまさに迷言でした。
父「薫、そんなブカっとしたワンピース来ていたら太るだろう!太るとおばさんになってみっともないから、ウエストが締まったスカートを着なさい!」
(いえ、これチュニックなんですけど…)
私「だって、忙しいから肩凝るんだもの・・・」
父「1日おきに病院に来るほど仕事が暇なのか?仕事をし過ぎると体調が悪くなるから、マイペースで続ければいいけど、無駄遣いはするんじゃないぞ!!」
(確かに、大きな海外のプロジェクトは11月にタイミングよく終わっていたので、当時の私は暇でした・・・)
私「お父さん、私はお父さんが思うほど無駄遣いしていません!(´・ω・`)」
(病院に来なくて良いと言いながら、行かないとメールが来るという矛盾はどういうこと??)
病院の一日(一応末期癌患者です)
手術後4日目くらいからメキメキと自立していった父。
5日目からは食事も食べられるようになり、最初は重湯から2分粥、3分粥…8分粥と、そして、手術後10日目くらいには普通のごはんを食べるようになりました。
毎日タンスの中(⇒父が気に入った4人部屋には真ん中にそれぞれの患者さんが使える小さな箪笥が置いてありました)を、夕方整理するのが日課だった父は、私がその日課の邪魔をすると機嫌が悪くなるのです。
仕事が終わると、今日は障碍者申請手続き、今日は介護認定手続き、今日はストーマの継続注文先の選定と、次から次へと看護師さんからの指示で増えていく手続きの多さに、どうしても市役所での手続きが終わった後の夕方しか病院に行く時間はないのに、そのタンスの整理をする時間である夕食後に病院に行くと父は機嫌悪し…
私「あのね、お父さん、昼間はお仕事の後に市役所とかに行っているんだから、夕方しか病院に来られないの!!」
父「お父さんは、夕方は忙しいんだ”(-“”-)” 3時過ぎに来なさい、3時過ぎに!!」
(3時過ぎなんて一番貴重な時間帯でしょうが⇒私の心の中の声)
どうやら父は、一日の病院での日課が決まっているらしい‥
7時頃 起床、体温や血圧などを計り、今日の検査などの連絡を貰う
8時頃 朝食
午前中 シーツを変えて貰ったり、ストーマ交換を教わったり、検査に行ったり結構忙しいらしい
12時 昼食
13時 病院内を散歩しつつ、洗濯機を回しに行く
14時 携帯でラジオを聞いたり、テレビを観たり
15時 することがない
17時 洗濯物の乾燥が終わる
18時 夕食
19時 タンスとベッド周りの整理
21時までテレビを観て…寝る
つまり、15時頃が一番暇らしい‥‥
だからって、私は15時くらいが一番仕事のペースが上がるので、父の相手をするわけにはいかない・・・・
こんな風に毎日を過ごしながら、特に痛みも強くなることもなく、平和に過ごしていた父でした。
末期癌だけど、うな重を目指せ!!
こんなに頑張れるのには明確な理由があったからだったらしい…
ある日、病棟に行くと、看護師さんやヘルパーさんから、
「お父さんは、うな重が大好きなんですってね!早く食べられるようになるといいわね(^^)/」
私「・・・( 一一)・・・($・・)/~~~、うな重??」
どうやら父は、うな重が食べたいらしくて、会う人会う人にうな重を食べたいと言っているらしい。
そして、退院したら行く予定の鰻屋さんまでしっかり携帯で調べていました。
「うな重を目指せ!!」
(クリスマスの定番チキンではなかったらしい)
それは、余命3~6か月と診断された父の心の支えとなった分かり易い目標だったのかもしれません。
そして、そんな珍目標を持って、父は自分自身を奮い立たせていたのかもしれません。その真意は結局聞くことは出来なかったけど・・・( ;∀;)
To be continued
(ブログランキング参加しています)