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安堵の中の切なさ
手術後の経過は、主治医の先生の心配が杞憂だったように、メキメキ回復していった父。
そして、世の中はクリスマス色に染まっていました。
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12月の入院費用
再び洗濯を自分でするようになり、病院で出される食事もすべて食べて、癌の痛みも特段悪化することもない父を、1日おきに見舞いながら安堵をする一方で、癌と分かった時の癌の進行具合と父の病歴を考えると、おそらく今度のお正月が父にとって最後のお正月になるはず…( ;∀;)という切ない思いが頭を離れることはありませんでした。
ちょっと厄介な人口肛門だったので、それが落ち着けば退院出来るかもしれない…、けれども、一方で腹膜播種が悪化すれば難しいかもしれない…というどっち付かずの中で、私はお正月のおせち料理をどうするか、夜になると悩んでいました。
病院食を完食している父は、「退院したら、栗きんとんと黒豆はお父さんが作るから大丈夫だよ!!」と嬉しそうに話をしていました。
そうなのです!!
小料理屋さんをやりたかったというくらい料理が上手な父は、仕事を完全に辞めた後は、お料理に勤しみ、もはやその腕前はセミプロと言ってもいいくらいでした。
ここ10年間、1回だけ百貨店でおせち料理を買って来た以外は、我が家のおせち料理は父特製でした。
(父が作った最後のおせち料理、良かった写真を撮っておいて 😀 )
でも、この年の10月に、ふとした会話の中で、「お父さんは、今度のお正月はおせち料理を全部は作れないな~。疲れるし。」と言っていました。
やはり歳なんだなと思うと同時に、そろそろ体調が悪いところでも出てきたのかな?と思っていました。その勘は見事に当たってしまったわけですが、それでも栗きんとんと黒豆だけは作ると言っている父。
「今度のお正月がきっと父と過ごす最後のお正月になるに違いない( ;∀;)」
その想いは、私にとってとても切ないものでした。
どうする??おせち料理!
ということで、とりあえず順調に手術から回復している父のために、昼間は、介護認定手続きの相談をしたり、ストーマ(人口肛門)が落ち着いてきた時のために障碍者認定手続きの申請の相談をしたり・・・
「病院⇒家⇒病院⇒市役所⇒地域包括支援センター⇒家」(合間に仕事)
の慌ただしい毎日を過ごしていた年の瀬でした。
そして、最大の課題は、「おせち料理を百貨店で注文すべきかどうか?」でした。
もし、私一人のお正月だったら、おせち料理なんて食べる気分になれないと思うけれども、もし父が一時的でも退院出来たら、やっぱり黒豆と栗きんとん以外にもおせち料理を用意したい‥‥
(でも、私は父のレシピを見ても、逆立ちしてもおせち料理は出来ない 😥 )
夕ご飯を食べて夜になると、よく使っている百貨店のサイトの中の「おせち料理コーナー」を眺めながら、ずっと悩み続けました。
百貨店のおせち料理は、人気があるものからどんどん売切れになっていきます。
12月半ばも過ぎると、半分くらいは売切れ状態です。
「注文すべきか否か???」
悶々と悩み続けた私ですが、目を付けていた昔住んでいた金沢の有名な料亭が作るおせち料理の大きい方が売切れになった時、
「やっぱり注文しよう!!もし食べられない時はその時。おせち料理を注文しない方が縁起が悪い!!」
と思い切って、その料亭のおせち料理を注文しました。
パソコンで、注文のクリックを押した時、
「これはお父さんが食べる最後のおせち料理になるのかな…」と思い、しばらく涙が止まらなかった私。
退院が決まる前の父の様子
依然として癌の痛みがないこともあり、膵臓癌であることは認識をしていても、自分は、あと数年は生きられるのではないかと思っている節を感じる時もありましたが、でも時々、自分の死を意識しているんだな…と感じることもありました。
感情的になって怒ることはなかったですが(私がお見舞いに行く時間に関して以外では…)
ある時、ナースセンターにいらっしゃった担当医の先生を掴まえて聞いてみました。
「あの、父は癌が痛まないみたいなんですけど、あそこまで進行した膵臓癌で痛みがないことがあるんですか?」
その担当医の先生曰く…
・確かに末期になると痛みがひどいと言われている癌の一つとして膵臓癌は入っていますが、中には痛みを最後まで感じないで亡くなられる方もいらっしゃいます。ですから、癌だから必ず痛みがひどくなるとは一概に言えません。
・お父さんの場合は、帯状疱疹後神経痛の痛み止めをずっと飲んでいるので、その痛み止めが癌にも効いて痛みを感じていない可能性もあります。
・けれども、足がむくみ始めていますし、癌が進行していないということはありません。ネットなどで、末期癌はこうなりますと書いてあるものが多いですが、実際の末期癌の症状は一人一人違います。お父さんの場合には、QOLを下げないで欲しいという要望を聞いていますので、無理して延命治療を始めていません(どんなことがあっても延命が大事という患者さんには、放射線治療などを併用することもあるそうです)。
・とにかく、年末年始はお家で過ごせるように頑張りましょう!
そのタイミングでは私の耳には入っていませんでしたが、父は事あるごとに、「うな重を食べたい!」としきりに言い始めていたようです。
そこの病院では、主治医の先生に何人かの先生と看護師がチームを作って治療計画を作っているようですが、その時のチームのミッションは、おそらく、「父が夢にまで見ているうな重をもう一度美味しく食べてもらうこと」だったようです 😆
To be continued
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