目次(Contents)
海外発行のクレジットカード深掘り
皆さん、お久しぶりです!
久しぶりにカード事業モデルを構築するお手伝いをしていたので、ブログ更新を控えていました。
事業モデルを検討している時は、そのモデルが頭の中でグルグル回っているので、無意識のうちにその片鱗をブログに書いてしまうリスクがあるためです。
ようやく、一段落しましたので、台風が接近している最中ですが、久しぶりにブログを書こうと思い立ちました。
ところで、カード事業モデルを検討する時には、多かれ少なかれ海外と日本の違いを比較することになります。今回も、カード決済を取り巻く各国の環境をリサーチする中で、改めて感じたのは、『日本で発行されたクレジットカードはそれ自体がJapan Unique』であるということです。
そこで、今回は海外で発行された一般的なクレジットカードについて日本で発行されたクレジットカードと比較をして深掘りをしてみたいと思います。
カード発行時のKYCの違い
クレジットカードを発行する時には必ずKYC(Know your customer)手続きを行うのは、世界中同じですが、そのKYCの内容は日本と海外ではかなり違います。
一般的に海外でクレジットカードを発行してもらうためのハードルは、日本の基準と比較をして高いと言われています。
もちろん、海外にも発行してもらい易いクレジットカードがあります。欧州では航空会社の提携クレジットカードは比較的発行してもらい易いと言われています、
米国ではノンバンクが発行するリボ払い専用クレジットカードなどは、場合によっては破産手続きが完了してから半年もすれば発行できてしまうこともあるそうですので、日本よりも多種多様なクレジットカードが発行されている『海外のクレジットカード』と一括りにすると誤解を生じるかもしれません。
では、なぜ日本ではクレジットカードの発行が比較的容易なのでしょうか?
それは、日本のカード会社がクレジットカード発行時に行うKYC手続きとその判断基準がほとんど同じであるからです。
ネットで検索をすると、『1年でアメリカンエクスプレスゴールドカードを手に入れるためには…』というようなノウハウサイトが沢山見つかりますが、このようなノウハウサイトに書いてあることは概ね同じような内容です。つまり、KYCの基準が似たり寄ったりなので、クレジットカード発行の手続きを突破するツボが見つかり易いと言えるわけです。
一方、付随サービスなどでかなり多様性がある海外(特に米国)のクレジットカードの場合、KYCの基準が銀行ごとに(海外ではクレジットカードを発行するのはカード会社ではなく銀行本体が行っているケースが大半です)独自性を持っているので、『こうすれば大丈夫!!』というようなノウハウに集約し難い一面があります。
いずれにしても、KYCと呼ばれている手続きの範囲は、海外の方が多種多様であり範囲が広いと言えるでしょう。
クレジットカードの発行のためには、クレジットスコアリングと呼ばれる数値を上げることは各銀行ともに共通ですが、最終的に、その銀行が、そのお客様に対して「クレジット(信用)を与えるかどうか」は、その銀行にとって口座を維持して欲しい顧客になって欲しいお客様を選んでいます。
ですから、場合によっては、きちんとした職業についていても、銀行口座すら開いてもらえないということが海外では頻繁に起こります。
この辺りについては、最近欧米では、『Challenger Bank』と呼ばれているアプリだけで運営をする新しいスタイルの銀行が生まれています。いわゆるFintechの一つの分野であり、日本ではまだその機運は高まっていませんが、遅かれ早かれそのビジネスモデルが日本にもやってくるでしょう。
その時には、クレジットカードの発行基準も独自性が出てくると思われます。
海外ではKYCについては色々な論点があります。こちらは簡単に読めて参考になります。
What is KYC and why is it required?
ボーナス一括払いって何?
私自身は一度も使ったことがないのですが、日本で発行されているクレジットカードにはボーナス一括払いという支払い方法が付いていることが多いです。それ以外にも、分割払いについて、2回から24回まで詳細に設定がされていますが、海外で発行されるクレジットカードにはこのような支払回数や支払い時期については設定がありません。
これは、日本のクレジットカードは、かつて『割賦販売』を取り扱っていた信販会社が母体となってカード会社となっているケースが多いことから来る歴史的経緯だと思います。
クレジットカードとは文字通り、信用で買い物が出来るカードです。
その利用限度額の範囲であれば、信用を供与しますというのが本来のモデルです。
ですから、海外のクレジットカードの支払いは、カードホルダーがその利用明細を確認して、『今月いくら払うか?』を任意に決めることが出来ます。もちろん、一定の条件の下、未払分(クレジット利用分)に対して所定の金利を支払うことになります。
けれども、この所定の金利というのもカード会社によってかなり異なります。カードホルダー側から見れば、なるべく条件が良い(無利息の期間が長い)カードを選びたくなりますので、クレジットカードのプロモーションには、しばしば、この無利息期間の延長というのが使われます。
海外のクレジットカードは、あるカードの利用残高を別のカードに移し替えることも出来ます。ですから、このプロモーションはかなり効果があるわけです。
少なくとも、私がよく行く米国では、日本のように、「××クレジットカードを発行したら、△△ゲームサイトで使えるポイントを10,000ポイント付与します!!」というプロモーションはお目に掛かったことがありません。
ということで、海外ではボーナス一括払いという選択肢はないので、海外での買い物の時は一応気を付けましょう。
一つのカードでクレジットとデビットが選べる
私は、仕事でもプライベートでも昔は頻繁にLAに行っていました。
LAには約10万人の日本人が住んでいると言われていますが、そもそもLAという定義をどう捉えるかで、この数字はかなり変わってきます(City of Los AngelesとLos Angeles Countyは違いますし、Great LAと呼ばれている地域もあります)
けれども、LAとその周辺地域は日系企業も多く、日本人が多く住んでいることは事実です。
そのLAで、お気に入りのショップがバーゲン商品を多く扱っているMallを目指して、北へ南へ友人に運転をして貰うわけですが、昔はよくその友人の家で夕食をごちそうして貰いました。
食材は、友人が気を遣ってくれて、少しお洒落な高級スーパーで選んでくれます。
その友人は、Seafoodに目がありません(ついでに食い気もたっぷりです)。Deli売り場で、彼女が大好きな「海老のカクテル風」なるDeliを思わず大量に買ってしまったのです。
いざ、レジでお会計をした時、あまりの高さにびっくりした記憶があります。
当然、彼女もその総額にびっくりしたらしく、一瞬「えっ??」という顔をしましたが、すぐに体制を立て直し、「Credit, please」とレジの人に言いました。
車に戻り、彼女に、『「Credit, please」ってどういう意味?』と聞きました。
(それは10年以上前のことなので、スーパーマーケットのレジでカードをレジの人に渡して決済する方法が主流だった時のことです)
その時初めて知ったのですが、彼女の銀行が発行したカードは、クレジット機能とデビット機能の両方を持っていたのです。
ですから、即座に口座から引き落としたい時にはデビットを選び、値が張る洋服などを買った時にはクレジットを選ぶことが出来るという画期的なカードだったわけです(当時の私はカード事業とは無縁の純粋な公認会計士でした)!!
『さすが、アメリカは進んでいるわね~!!』と感心したことを今でもよく覚えています。
けれども、今は、クレジット、デビット、プリペイドの3種類のカードのプロセッシングシステムの構造も、海外では銀行がカードを発行するのが一般的であることも良く知っています。ですから、今聞けばなんということもないことなのですが、振り返ると、微笑ましい思い出です。
最近は、米国でも小売店ではスタッフの人にカードを渡さないで自分でカード端末に差し込みすべての手続きをする方法が浸透していますので、私のクレジットカードをカード端末に差しても、たまにCreditとDebitの選択肢が出てくるカード端末にお目に掛かります。
当然ですが、Creditの方を選択するのですが、Debitを選択したらどうなるんだろう??という好奇心を抑えるのに一瞬自分を戒めています。
皆さんは、クレジットカードを海外で使った時に、想定外な場面に出くわしたことはありませんか?
日本のクレジットカードと海外のクレジットカードは、かなり仕組みが違うので、このような経験に出くわすこともあると思います。参考になれば幸いです。
To be continued