コインチェックのNEM流出問題は、最終的に、マネックスグループによる同社の買収で収束となる見込みであるが、キャッシュレスを推進する流れもあり、Fintechの発展を念頭に、保守的な日本の官庁にしては珍しくFintech関連ベンチャーに寛容だった金融庁のスタンスが一気に変わった。
ほぼ毎日、憶測記事と事実記事が交錯するので、何がどうなっているのか、いささか情報が交錯しているので、とりあえず、4月14日までの主たる動向を時系列で追ってみたいと思います。(これは、自身の備忘記録にもなるかと…)
1月26日 コインチェックで580億円相当のNEMが流出、同日に緊急記者会見
1月29日 金融庁からの1回目の業務改善命令
2月2日~ 金融庁立ち入り検査
2月13日 記者会見(NEM流出分を現金で返金をすることを明言する)
(2月26日から27日にかけて、集団提訴の動き)
3月8日 金融庁からの2回目の業務改善命令
3月12日~ 返金開始
3月22日 業務改善計画の提出
4月5日 コインチェックがマネックスによる買収受け入れとの報道
4月6日 マネックスによるコインチェック買収が正式発表、買収額は36億円
4月7日~ マネックス松本社長のインタビューが相次ぐ
こうして振り返ると、かなりのスピード感ですべての物事が動いていることが分かります。今回のコインチェックの買収に関しては、事前に金融庁の事実上の内諾を取っていたものと思われますが、このスピード感は、金融庁の仮想通貨の将来性を潰すことを回避する意思の強さを感じます。
以上がコインチェックを取り巻く一連の流れであるが、この間、金融庁は、登録事業者及びみなし事業者に対して、相次いで立ち入り検査を実施しています。
その結果、断続的に問題が発覚し、業務停止命令や業務改善命令が相次いで発動されて、いくつかの事業者は廃業を決め、また、いくつかの事業者は大手の傘下に入ることを決めています。仮想通貨事業者の名前が似ているものが多く、新聞を読むたびに一覧表が欲しいと思ったのは私だけではないと思います…
以下のサイトが良く整理されています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28944290T00C18A4MM8000/
ビットアルゴ取引所は途中経過で「そのような事実はありません」とHP上トップに記載がありましたが、その数日後にはヤフー40%の出資(4月13日)が決まっています。
ヤフーが仮想通貨とブロックチェーン事業参入へ、子会社がビットアルゴ取引所東京へ資本参加
そして、廃業を明言しているのは以下の会社です。
ビットステーション(業務停止命令を受けた)
ビットエクスプレス(登録申請取り下げ)
来夢(登録申請取り下げ)
ミスターエクスチェンジ(業務改善命令を受けた)
その他、かなりの数の事業者が業務改善命令を受けており、その後の顛末が気になるところですが、とにかく数が多過ぎて覚えられません(汗)。
以下のサイトの整理は分かり易いですので、参考にしてください。
https://bitpress.jp/news/information/entry-8147.html
更に、現在金融庁では、既に登録済みの事業者の立入検査に重点を置き、100社とも言われている登録申請準備中の会社が新たに登録を認められるのは当面先のようです。
その中には、メガバンクやLine、サイバーエージェント(→その後仮想通貨事業者への参入中止を表明しました)などの一部上場会社も多く含まれており、これらの上場会社の本格参入で業界が健全化されていくことを期待したいところです。
さて、英語でコインチェックに端を発した日本の実情を英語ブログで発信をして、欧米のFintech関連企業の社長などの意見を聞いてみました。
日本は法律で仮想通貨の取引規制を敷いた唯一の先進国であることから、この事件への関心はかなり高いようであり、「What do you think about the foregoing situations on Cryptocurrency ?」との問いに対して、非常に冷静な反応が返ってきたところに、百戦錬磨の経験豊かな決済関連企業の社長たちの底力を感じました。いやはや、一言で言えば、Coolです。
日本でいくつかのFintech関連のイベントを拝見しましたが、仲間内ではしゃいでいる感がぬぐえない日本に対して、欧米では、銀行、決済会社、カード会社、プロセッシング会社で経験を積んだ人たちによる起業が多いです。
この辺りが、欧米の底力かなと痛感します。
親しい友人でもある社長の冷静な分析は以下の通りです。彼は、英語までが端的なので…原文を公開させて頂きます。
I don’t look at crypto as a commodity, I view it as a tool that will replace the legacy systems conventional banks, credit cards like Visa and MasterCard, ACH, swift, etc.
Think logically (which I know you do), there is no reason why payments on a global basis have to have the latency and costs and old cross boarder rules that were put in place years ago.
Like the Japanese Payment Act, FSA has implemented rules to protect the systems and more importantly consumers. Like all breakthrough technologies, it takes a while and some pain before rules get implemented. Perfect point and case, what’s going on with Facebook right now.
It’ll take a few more years for crypto/virtual currency to become mainstream, but much like debit cards in the early 80’s and the internet in the late 90’s, one day I believe crypto will become a household term.
過去は1980年代まで遡り、将来は少なくとも5年後は見据えて冷静に考えろと言われ、夜中に受け取ったこのメッセージのおかげで、眠気が一気に冷めました。。。