皆さんはKYCという言葉を聞いたことがありますか?
『Know your customer』の頭文字を取ったもので、カード業界では一般的に本人確認と理解されています。
このKYC、かなり奥が深いのです。(*_*)
私が昔お世話になっていた事業会社の新規事業の立上げをしていた時、カード会社(注:日本ではクレジットカードを発行するのはカード会社が一般的ですが、海外では銀行(Bank)が圧倒的に多いです)でなくても発行できる唯一の国際ブランド付きカードであるブランドプリペイドカードの発行をするために、プリペイドカードのプロセッシングでは世界的に技術トップを走っていると言われているi2c Inc.という会社をプロセッサーに選定し、日本でのカードネットワークへの開発から運用まで一緒に立上げをしました。
その折、何かとサポートを下さった某カードブランド会社のJapan Officeにいらっしゃるアメリカ人のプリペイドカード事業の責任者に、このKYCの真髄を教えてもらいました。(とにかく、このプロセッサー会社のImplementation teamの人達との会議で、毎回、How do you do KYC procedures?の連発でゲンナリ
)
典型的な例として米国を取り上げたいと思います。
米国では、SSN(Social Security Number)という番号を、合法的に米国に滞在する権利を持っている人は全員持っていて、このSSNが、KYCでは絶対的なポジションとなっています。ただし、日本と同様に、SSN情報を盗んで、本人に成りすましということも多々発生しているようで、カードの登録手続きの際には、なかなか良く工夫されたいくつかの質問をパスする必要があります。
私は、この新規事業のリサーチを兼ねて、当時コンサルティングを依頼していた金融機関の由緒正しき社員の方たちと一緒に、私の米国在住の友人に頼んで、国際ブランドプリペイドカード(いわゆる日本で言うところのチャージ式というもので、銀行や店舗でチャージをすることで繰り返し使えるものがKYCの対象となります)の発行手続きをネットで行ってもらいました。当然、お礼は、ささやかな夕食
をご馳走するというものでした。
BUT
これが、アメリカに住んで早25年となり、この国のテロ対策が要因である執拗に長い各種登録手続きに慣れている我が友人でさえも、途中で『もう止めていい?』と聞くほど、しつこくのです
その中のひとつに、そのSSNの本人であることを裏付けるためと思われる奇問があったのですが、それは、
『Which is a correct street name where you used to live in Hawaii ?』
(あなたがハワイに住んでいた時のStreet(米国は住所は必ずストリート名+番地となっています)はどれですか?)
という質問に対して、選択肢が4つ。
彼曰く、
『何度か引越しをしたので、二つ正しいのがある』
とのこと。
これ、本当にSSNと連動しているのであれば、すごいですよね~(ため息)
私が、そのカードブランド責任者のアメリカ人に、『例えば、ANAのマイレージカードに入っている場合に、そのマイレージ番号をSSN代わりにKYCの根拠に使えないのですか?』とお聞きしたところ、
『ANAが、その番号の持ち主が本当に正しい本人だと保証してくれるのか?出来ないでしょう。だから、NO』
とのこと。
なるほど。要は、最終的に、その番号の持ち主が本人であることを保証してくれる絶対的に信用できる背景が必要だということなのですね。
ということで、目下、日本ではそれに該当すると思われるマイナンバー
今回の年金基礎番号と個人情報の流出で、政府と地方自治体によるマイナンバーの管理方法に、一気に疑心的な注目が集まっていますが、どうなるのでしょうか?
個人的に、大変注目しています。
To be continued